真湯ナチュラリストの真遊日記
二ホンアナグマ
2025年8月1日
真湯原生林の森の入り口
太陽の熱いまなざしを、樹々が陰にしてくれる夕刻間際のこと。

「フンフンフフフフ」
その奇妙な物音の先に視線を向けると、そこにいたのは草地の中で鼻を鳴らす二ホンアナグマでした。
夢中で食べ物を探しているのでしょう、しきりに鼻先を動かし
そっと近づく私に、全く気付いていません。


一瞬、ハッと顔を上げ周囲の気配を確認しました。
獲物を捕る鼻の動かし方を、大胆から小刻みに変化させ
辺りの気配を伺っています。
しかしまた「フンフンフン」と鼻を鳴らし獲物を探し始めました。
この時すでに私はすぐそばにいるのに、全く気づいていない様子です💦

こんなに近づいています!(笑)
この時にはもうすでに、手の届く範囲です。
一般の猫よりも一回りほど小さい、まだ若い個体でしょうか。
毛がとてもフワフワとしていて、触ってみたくなります。

(ん?)
そんな顔つきでようやく私に気付きました。
みるみるうちに逆毛になっていきます。

アナグマがこちらに威嚇をしています。
明らかに捕食領域に入られてしまった
そんな若いアナグマの威嚇は、
絶対に生きようとする命を感じさせ、力強く堂々とし、
切羽詰まったこの対峙は、命のやり取りであるとさえ感じられるものがありました。
こちらも調子に乗り、アナグマに近づきすぎました。
「驚かせてごめんね」
そう言って私は数歩下がりました。
すると

アナグマもサッと森のほうへ駆けていきました。
真湯原生林の森での
とある出来事でした。
(自然観察指導員・ネイチャーガイド/三浦文彦)